四書五経

四書五経(ししょごきょう)は、中国の古典的な儒教の教典群であり、儒教の思想や価値観を学ぶための基本的な文献とされています。儒教は、孔子を中心に形成された哲学で、人間関係の倫理や社会秩序を重視する思想です。四書五経は、中国の古代から近代にかけて、政治や教育、道徳の基盤として広く学ばれ、特に科挙(官吏登用試験)において重要視されました。

四書(ししょ)

四書は、儒教の基本的な教えをまとめた4つの書物で、朱子(宋代の儒学の一派)において特に重視されました。四書は、孔子やその弟子たちの教えをまとめたものです。

  1. 大学(だいがく)
    • 「学びの道」について書かれた書物で、自己修養と徳を高めることが人間としての道であることを説いています。小さな範囲から始めて、家族、国家、天下に至るまで、徳の拡大を目指すことを重視しています。
  2. 中庸(ちゅうよう)
    • 「中庸の道」を説いた書物で、極端を避け、バランスの取れた生き方を重視しています。物事の調和や、内面の安定が人間の徳や道徳の基盤であるとしています。
  3. 論語(ろんご)
    • 孔子とその弟子たちの言行録をまとめた書物です。孔子の教えや、弟子たちとの対話を通じて、道徳的な行動人間としての在り方を学ぶことができます。特に、「仁」(思いやり)や「礼」(礼儀)が重要視されています。
  4. 孟子(もうし)
    • 孟子の教えをまとめた書物で、孔子の後継者とされる孟子の思想を記録しています。孟子は、人間の本性はであると説き、特に「仁義礼智」の4つの徳を重視しています。また、民本主義の立場から、為政者は民衆のために徳治を行うべきだと説いています。

五経(ごきょう)

五経は、儒教以前から存在した古代の書物で、孔子がこれを編纂し、儒教の根本教典として位置づけました。五経は、儒教における政治的、歴史的、哲学的な基盤を提供するものです。

  1. 易経(えききょう)
    • 古代中国の占いの書で、自然の変化や宇宙の秩序を「陰陽」の概念で説明しています。易経は、変化の原理を理解するための書物であり、占いだけでなく、哲学的な考察の基盤としても使われました。
  2. 書経(しょきょう)
    • 古代の政治的な記録や文書を集めた書物で、主に古代の王朝の歴史や出来事が記録されています。書経は、為政者の理想徳治主義を説き、正しい統治を行うための教訓が含まれています。
  3. 詩経(しきょう)
    • 古代中国の詩歌を集めた書物で、305篇の詩が収められています。詩経は、農村生活、宗教儀式、政治的行事などを詠った詩が多く、人々の感情社会の状態を反映しています。
  4. 礼記(らいき)
    • 古代の儀礼や礼法を記した書物です。儒教の教えでは、は社会秩序を保つための基本であり、人間関係や行動規範を示すものとして非常に重要です。礼記には、様々な儀式や礼儀作法の詳細が記載されています。
  5. 春秋(しゅんじゅう)
    • 魯国(ろこく)の歴史書で、春秋時代(紀元前8世紀から紀元前5世紀)の出来事を年代記的に記録したものです。孔子が編纂したとされ、歴史的な出来事の教訓を通じて、道徳的な判断を行うことを重視しています。

四書五経の意義と影響

四書五経は、中国の歴史において思想的、教育的、政治的な柱として、長い間重視されてきました。特に儒教の価値観である仁(じん)や義(ぎ)、礼(れい)といった人間関係や社会秩序を重んじる道徳規範が、東アジアの文化や政治に深く影響を与えています。

  • 教育の基礎:四書五経は、古代中国で教育の基本として学ばれ、知識人や官僚が学ぶべき教養として重んじられました。
  • 科挙制度:中国の官吏登用試験である科挙では、四書五経の内容を基にした試験が行われ、これに合格することで政治の世界に入ることができました。
  • 道徳規範:儒教の教えが社会の基本的な道徳規範とされ、家族や国家の秩序を維持するための基準として受け入れられてきました。

まとめ

四書五経は、儒教の核心をなす重要な教典であり、中国の政治、文化、教育に深い影響を与えてきました。四書は主に孔子やその弟子の思想をまとめた書物で、人間関係や自己修養を強調しています。一方、五経は、儒教以前からの古典的な書物で、歴史、儀礼、詩歌、哲学に関する基礎的な知識を提供します。四書五経は、古代から現代に至るまで、東アジア全域において道徳や倫理、学問の基盤として重んじられ続けてきました。

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