旧暦

旧暦とは、かつて日本や中国で使用されていた太陰太陽暦のことを指します。旧暦は、月の満ち欠け月の周期)を基にしており、1か月を29日か30日とし、約1年間が354日から355日となります。しかし、このままでは実際の太陽暦(1年が約365日)とズレが生じるため、閏月(うるうづき)を挿入して調整する太陰太陽暦が使われていました。

旧暦の特徴

1. 太陰太陽暦

旧暦は、太陰暦(月の満ち欠けに基づく暦)に太陽暦の要素を取り入れたものです。太陰暦では、1か月が約29.5日(新月から次の新月まで)となるため、12か月だと1年が約354日となり、太陽暦の365日と比べて約11日短くなります。このズレを修正するために、閏月を追加することによって太陽の運行とも調整されました。

2. 閏月の挿入

太陽暦とのズレを解消するため、19年間に7回の割合で閏月(通常の月が2回あるような月)が挿入されました。これにより、旧暦は季節と太陽の運行と一致するよう調整されました。

3. 月の満ち欠けと新月

旧暦は、月の満ち欠けに基づいているため、新月の日が毎月の1日(朔日)となり、満月は月の中頃にあたる15日頃となります。これにより、月の状態を見ながら日付を知ることができ、特に農業や漁業で役立てられていました。

4. 節気と雑節

旧暦では、二十四節気立春夏至、秋分など)や雑節節分、彼岸など)が重要な役割を果たしていました。これらは、季節の移り変わりを示すものであり、農業や行事の計画を立てるために使われていました。

旧暦と新暦の違い

新暦(現在使用されている暦)は、太陽暦に基づいたグレゴリオ暦を指し、1年を365日(閏年は366日)とする暦です。日本では、明治5年に太陽暦であるグレゴリオ暦が採用され、現在のカレンダーが使われるようになりました。

旧暦と新暦の大きな違いは、季節感日付のズレです。旧暦は月の動きを基にしているため、現在のカレンダー(新暦)とは1か月前後のズレが生じます。たとえば、旧暦の正月は新暦の1月1日ではなく、1月下旬から2月中旬に当たります。

旧暦の主要な行事

1. 旧暦の正月(旧正月)

現在のカレンダーでは1月1日が新年ですが、旧暦では1月の新月が1年の始まりとされ、現在の1月下旬から2月上旬にあたります。現在でも中国や韓国などでは、旧暦に基づいた旧正月(春節)を祝う習慣が残っています。

2. 端午の節句

旧暦の5月5日にあたる端午の節句(現在のカレンダーでは6月頃)は、男児の成長を願う行事です。菖蒲の葉を使った飾りや風習が行われ、現在の日本でも「こどもの日」として祝われています。

3. 中秋の名月(十五夜)

旧暦の8月15日に祝われる「中秋の名月」は、月が最も美しく見える時期とされ、月を愛でる行事です。日本では「お月見」として有名で、団子やススキを供えて月を楽しむ伝統があります。

4. お盆

旧暦の7月15日頃には、お盆の行事が行われていました。現在では新暦の8月に行われることが一般的ですが、沖縄など一部地域では、旧暦のお盆を守るところもあります。

旧暦の現在の役割

日本では現在、主に新暦が使われていますが、旧暦は伝統行事や季節感に関わる場面で重要な役割を果たしています。たとえば、先述した中秋の名月や、暦注(こよみの吉凶や暦日)に基づいた縁起などは、旧暦に関連して行われることが多いです。また、旧暦を利用することで、太陰太陽暦に基づいた自然のリズムや季節感を感じることができるため、農業や漁業の計画にも役立てられています。

旧暦を使う理由と利点

1. 自然との調和

旧暦は、月の満ち欠けや季節の変化に合わせているため、自然のリズムに基づいて生活するのに役立ちます。農業や漁業では、作物の植え付けや収穫、漁のタイミングを知るために、旧暦が参考にされることが多くあります。

2. 伝統行事の継承

旧暦に基づいた多くの伝統行事が今でも残されており、季節感や古代からの生活習慣を伝える重要な役割を果たしています。旧正月や中秋の名月など、旧暦に従った行事を行うことで、文化的な継承が可能となります。

まとめ

旧暦(きゅうれき)は、かつて使われていた太陰太陽暦で、月の満ち欠けに基づいた暦です。現在は新暦(太陽暦)が主流ですが、旧暦は依然として伝統行事や季節感に密接に結びついています。月や自然のリズムを反映した旧暦は、農業や漁業、そして生活の中で自然との調和を保つための重要な役割を果たしており、現在でも多くの行事で活用されています。

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