卜術(ぼくじゅつ)とは、未来を予知したり、物事の吉凶を占うための方法の一つで、特定の儀式や道具を用いて占う占術のことです。卜術は古代から世界各地で行われており、特に中国や日本、エジプト、メソポタミアなどで発展しました。卜術の代表的な方法としては、亀の甲羅や動物の骨を使ったもの(甲骨占い)、易経を用いた易占、鳥の飛び方を観察する鳥占いなどがあります。
卜術は、神意や天意を読み取るための手段として用いられることが多く、国家の重大事から個人の日常生活に至るまで幅広く利用されていました。現代においても、卜術はスピリチュアルな探求や自己理解のためのツールとして活用されることがあります。具体的な方法には、タロットカードやダイス、ルーン占いなど、さまざまな道具や手法があります。
目次
卜術の歴史と概要
古代中国における卜術
卜術は、中国において長い歴史を持つ占術であり、特に殷代(紀元前16世紀から紀元前11世紀頃)に盛んに行われました。この時代には、亀の甲羅や動物の骨を加熱し、割れ目やひび割れの形を見て吉凶を占う「甲骨占い」が行われていました。この甲骨に刻まれた記録が「甲骨文字」として現代に残されており、古代中国の文化や信仰を知る上で重要な史料とされています。
易占と卜術
卜術の中でも、中国の「易経」を用いた易占(えきせん)は、最も代表的なものの一つです。易占では、陰と陽の二つの要素が組み合わさって形成される「卦」を使い、物事の流れや未来を占います。易経は単なる占いの道具としてだけでなく、哲学や道徳の教えを含むものとして発展し、中国文化において重要な役割を果たしてきました。卜術としての易占は、筮竹(ぜいちく)を用いて占いを行う伝統的な方法や、現在ではサイコロやコインを使った簡易的な手法もあります。
日本における卜術
日本でも、古代から卜術が行われており、国家の方針を決定するために占いが用いられることがありました。古代の日本では、鹿の骨を焼いて割れ目を観察する「骨卜(こつぼく)」や、方角を占う「方違え」などの手法が行われていました。平安時代以降、陰陽師による占いや、陰陽道と結びついた卜術が発展しました。
その他の文化における卜術
卜術は、古代エジプトやギリシャ、ローマなどでも行われ、特定の儀式や神託を通じて未来を占いました。例えば、鳥の飛ぶ方向や動きを観察する鳥占い(アウグル占い)や、占い師が水や鏡を使って未来を読み取る水晶占いなど、多岐にわたる方法があります。これらの占術は、現代でもスピリチュアルな領域で用いられることがあります。
代表的な卜術の種類
甲骨占い
甲骨占いは、亀の甲羅や動物の骨を使い、火で熱してできたひび割れを解釈する占術です。古代中国で盛んに行われ、特に国家の重要な出来事の吉凶を占うために用いられました。
易占(えきせん)
易経を使った占いで、陰陽の組み合わせによる64の卦を用いて吉凶を占います。現代でも筮竹やサイコロを使った易占いは、自己理解や人生の道しるべを求める際に利用されます。
タロット占い
タロットカードを用いた占術で、質問に対するメッセージや人生の課題を読み取る方法です。大アルカナと小アルカナのカードを組み合わせ、質問者に対して適切なアドバイスを与えることを目的としています。
鳥占い(オーメン)
鳥の飛ぶ動きや鳴き声を観察して未来を占う占術です。古代ローマの占い師(オーガー)が、政治や戦争の吉凶を占うために用いたことでも知られています。
ダウジング
振り子や棒を使って地中の水や鉱物、エネルギーの流れを見つけるために行われる卜術です。ダウジングは、答えを求める質問に対して振り子が動く方向や動きを観察して答えを導き出します。
卜術の目的と役割
吉凶を占う
卜術の主な目的は、未来の出来事や物事の吉凶を予測することです。人生の重要な決断や、社会的な問題に関する判断を下す際に、卜術を利用して神や天意の導きを仰ぐとされています。
自己理解と成長のためのツール
卜術は、自己の内面を見つめ直し、人生の方向性を考えるための手助けとしても活用されます。現代においては、スピリチュアルな自己探求の一環として占いが利用されることが多く、卜術の結果を自己の成長や目標設定に役立てる人も少なくありません。
社会的・儀式的な役割
古代では、卜術は国家や宗教の儀式においても重要な役割を果たしていました。占いの結果に基づいて政治的な決断を行ったり、戦争の開始や終結を決定する際に用いられたこともあります。
まとめ
卜術(ぼくじゅつ)は、未来を予測したり物事の吉凶を占うための占術で、古代から現代に至るまでさまざまな形で発展してきました。中国の甲骨占いや易占、日本の陰陽道の卜術、タロットカードなど、各地で異なる方法が生まれています。卜術は、神意を読み取る手段として、また自己理解や人生の指針を得るための道具として、今でも人々に利用されています。