風水で方位を調べたり、間取りの吉凶を判断したりする際、そのベースとなっているのが「後天八卦(こうてんはっけ)」です。古代中国の周の文王が体系化したとされるこの図は、単なる方位図ではありません。自然のサイクル、時間の経過、そして人間社会のダイナミズムを統合した「動くエネルギーの設計図」です。私たちが生きる現実世界をより良く整えるための、羅針盤の読み方をマスターしましょう。
目次
後天八卦とは?|「用」のエネルギーを読み解く

後天八卦は、八卦(乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤)を現実の方位や季節に当てはめたものです。
後天八卦の本質:
先天八卦が「宇宙の普遍的な真理(静的な体)」を表すのに対し、後天八卦は「現実世界での運用と変化(動的な用)」を表します。
春に芽吹き、夏に茂り、秋に実り、冬に蓄える――。この自然界の循環を方位に投影しているため、実際の引越しやリフォーム、日々の運勢判断にはこの「後天八卦」が主に使われます。
八卦の構成|方位・季節・象徴の相関図
後天八卦では、各エネルギーが特定の方位と季節を司ります。
| 卦名(読み) | 方位 | 五行 | 季節 | 象徴する事象 |
| 震(しん) | 東 | 木 | 春 | 始まり、雷、活発な行動力 |
| 巽(そん) | 南東 | 木 | 晩春 | 成長、風、信用、広がり |
| 離(り) | 南 | 火 | 夏 | 知性、光明、情熱、華やかさ |
| 坤(こん) | 南西 | 土 | 晩夏 | 受容、大地、育成、母性 |
| 兌(だ) | 西 | 金 | 秋 | 悦び、収穫、社交、楽しみ |
| 乾(けん) | 北西 | 金 | 晩秋 | 権威、天、リーダーシップ、父 |
| 坎(かん) | 北 | 水 | 冬 | 悩み、内省、知恵、流動性 |
| 艮(ごん) | 北東 | 土 | 晩冬 | 停止、山、変化の節目、蓄積 |
先天八卦と後天八卦の違い
風水を深く知る上で、この2つの違いを理解しておくことは非常に重要です。
先天八卦(せんてんはっけ)
宇宙の誕生や「あるべき理想の姿」を示します。対極にあるもの(天と地、火と水など)が向かい合う「調和」の図です。主に、お墓の風水(陰宅)や宇宙の原理を論じる際に使われます。
後天八卦(こうてんはっけ)
実際に私たちが活動する「時間の流れる世界」を示します。太陽が東から昇り、南を経て西へ沈むという流れに沿っています。私たちが住む家(陽宅)の風水や、方位学ではこちらが主役です。
風水における後天八卦の実践的な活用
後天八卦を理解すると、自分を取り巻く環境を意図的に整えることができます。
間取り(バグアマップ)の診断
家の中を八方位に分け、特定の方位を整えることで望む運気を強化します。
- 南東(巽)を綺麗にすると、人間関係の信用が高まりビジネスが発展する。
- 北西(乾)を整えると、責任ある立場としての運気(目上の助け)が強まる。
吉方位の割り出し
九星気学などの占術は、この後天八卦の配置をベースにしています。その時々で「どの方向に良いエネルギーが巡っているか」を判断し、引越しや旅行に活かします。
健康と人間関係の調整
方位ごとの「家族の役割」や「身体部位」を参考にします。例えば、南西(坤)に問題があると「母」や「胃腸」に影響が出やすいといった読み解きを行い、インテリアの改善に繋げます。
よくある質問(FAQ)
Q:なぜ風水では「先天」より「後天」をよく使うの?
先天八卦は「宇宙の設計図」のようなもので、私たちの住む現実世界(後天の世界)では、その設計図が時間とともに動き出しているからです。私たちが直面する「日々の変化」や「具体的な生活環境」を調整するには、動きのある後天八卦の方が適しているのです。
Q:九星気学の「方位盤」とは同じもの?
非常に近い関係にあります。九星気学の「後天定位盤」は、この後天八卦の配置に一白から九紫までの星を割り当てたものです。つまり、後天八卦は気学の土台となっている理論といえます。
Q:自分の家の中で、どの方位が自分に影響するか知るには?
まずは家の中心(太極)から見て、どの方位に何があるかを確認します。例えば、あなたが「仕事でリーダーシップを発揮したい」なら、後天八卦でリーダーを象徴する「北西(乾)」の方位を整えるのが効果的です。
Q:方位による運気は一生変わらないの?
方位が持つ「基本的な性質(例:東は発展など)」は変わりません。しかし、そこに巡ってくる年ごとのエネルギーの変化(年運など)と組み合わせることで、その時々の吉凶が変化します。基本を後天八卦で知り、応用を年運で見るのがプロの視点です。
まとめ
後天八卦(こうてんはっけ)は、私たちが生きる「今、ここ」をより豊かに、スムーズに回すための知恵です。自然のサイクルに自分を同期させることで、無理のない発展と安定を手にすることができます。
複雑に見えるかもしれませんが、まずは「太陽の動きとともにエネルギーも巡っている」という感覚から始めてみてください。方位の力を味方につければ、あなたの日常はより鮮やかに、そして力強く動き出すはずです。





